ジャニーヌ・ヤンセン

ジャニーヌ・ヤンセン

ヴァイオリン

ヴァイオリン演奏がジャニーヌ・ヤンセンのライフワークとなったのは、運命と言える。ヤンセンの両親も二人の兄弟も音楽家で、彼女自身は6歳でヴァイオリンを始めた。聞く者の心を掴む存在感と、限りなく繊細な音色とフレージングを兼ね備えたヤンセンの演奏スタイルは、世界中のあらゆる場所で、批評家たちから最高の賛辞を浴びせられてきた。 オランダのスストで生まれたヤンセンは、コーシェ・ヴェイゼンベーク、フィリップ・ヒルシュホルン、ボリス・ベルキンに師事した。1997年のコンセルトヘボウ・デビューをきっかけに母国で大スターとなった彼女は、やがて、より広い世界に出て舞台に立つことになる。2002年にBBCの新世代アーティストに選出され、同年にウラディーミル・アシュケナージ指揮フィルハーモニア管弦楽団との共演でロンドンにデビュー。3年後の2005年にBBCプロムスのオープニング公演でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏し、国際的アーティストの仲間入りを果たした。これまで、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、フィラデルフィア管弦楽団、クリーヴランド管弦楽団、NHK交響楽団、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団など世界有数のオーケストラから招かれ客演。またロリン・マゼール、ワレリー・ゲルギエフ、リッカルド・シャイー、ネーメ・ヤルヴィ、パーヴォ・ヤルヴィ、エサ=ペッカ・サロネン、ダニエル・ハーディング、サー・アントニオ・パッパーノ、サー・マーク・エルダー、エド・デ・ワールト、サー・ロジャー・ノリントンら、高名な指揮者たちと共演した。 2014年のBBCプロムスではフィーチャード・アーティストに選ばれ、世界的に有名な「プロムス最終夜」に出演するという栄誉に浴した。ヤンセンは、協奏曲の演奏やプロジェクトに加えて、リサイタルにも情熱を注いでいる。ユトレヒトに国際室内楽フェスティヴァルを創設し、毎年企画・実行に携わっている他、1998年からは、ベルリン・フィルハーモニーの室内楽公演シリーズ「スペクトラム・コンサーツ・ベルリン」にもメンバーとして出演している。ヤンセンの室内楽の共演パートナーとして、レイフ・オヴェ・アンスネス、ジャン=イヴ・ティボーデ、イタマール・ゴラン、キャサリン・ストット、ジュリアン・ラクリン、マキシム・リザノフ、トルレイフ・テデーン、ミッシャ・マイスキーが挙げられる。 デッカと専属録音契約を結んでいるヤンセンのディスコグラフィは、高い評価を得ている。実際、彼女はレコード愛好家たちの間で確固たる人気を誇る演奏家の一人であり、そのレパートリーは、ゴランとの共演によるフランス作品集『美しい夕暮れ』から、シェーンベルクの《浄夜》、シューベルトの弦楽五重奏曲、そしてメンデルスゾーン、ブルッフ、プロコフィエフ、チャイコフスキーの協奏曲まで、多岐にわたる。 2003年9月、ヤンセンはオランダで芸術家に贈られる最高の栄誉であるオランダ音楽賞を文化省から授けられた。また、エディソン・クラシック・パブリック賞を4回、エコー賞を3回受賞し、ロイヤル・フィルハーモニック協会の器楽奏者賞、ドイツ・レコード批評家賞、傑出した芸術的業績を称えるNDR音楽賞、個人の業績を称えるVSCDクラシック音楽賞、コンセルトヘボウ賞も授与された。 ヤンセンは、おそらくどんなヴァイオリンを弾いても音楽に魔法をかけることができるだろう。とはいえ、優れた楽器奏者には優れた楽器がふさわしい。現在の使用楽器は、ベアーズ国際ヴァイオリン協会から貸与されている1727年製のストラディヴァリウス「Baron Deurbroucq」である。