内田光子

内田光子

ピアノ

内田光子は、真実と美を探求しながら、自らが奏でる楽曲を深く洞察する演奏家である。内田はコンサートにおいてもレコーディングにおいても、モーツァルト、シューベルト、ベートーヴェンの作品解釈で定評がある一方、ベルク、シェーンベルク、ヴェーベルン、ブーレーズなどの音楽にも光を当て、新世代の聴衆に紹介している。 内田は熱海で生まれ、12歳の時にウィーンに移った。ウィーン音楽院でリヒャルト・ハウザーに師事し、後にヴィルヘルム・ケンプとステファン・アスケナーゼの下でも学んだ。14歳の若さで、自身初のウィーンでのリサイタルをウィーン楽友協会で開いている。1969年、ウィーンのベートーヴェン・コンクールで第1位に輝き、1970年にショパン国際ピアノ・コンクールで第2位、1975年にはリーズ国際ピアノ・コンクールで第2位を獲得した。 内田はこれまで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、さらに米国のシカゴ交響楽団とクリーヴランド管弦楽団など、世界最高峰のオーケストラと密な関係を築いてきた。最近、クリーヴランド管弦楽団との記念すべき100回目の共演を本拠セヴェランス・ホールで祝った。指揮者では、ベルナルト・ハイティンク、サー・サイモン・ラトル、リッカルド・ムーティ、エサ=ペッカ・サロネン、ウラディーミル・ユロフスキ、アンドリス・ネルソンス、グスターボ・ドゥダメル、マリス・ヤンソンスらと共演を重ねてきた。マーラー・チェンバー・オーケストラのアーティスティック・パートナーでもある。内田は、ウィーン、ベルリン、パリ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、東京で定期的にリサイタルを開催。ザルツブルク・モーツァルト週間とザルツブルク音楽祭から頻繁に招かれ演奏を行っている。 デッカ・レコードと専属契約を結んでいる内田は、モーツァルトとシューベルトのピアノ・ソナタ全集を始めとする幅広いディスコグラフィを築いており、数々の賞に輝いている。とりわけ、クリーヴランド管弦楽団との共演によるモーツァルトの協奏曲のアルバムと、ドロテア・レッシュマンとの共演によるドイツ・リートのアルバムで、グラミー賞を2回受賞した。またピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団とのシェーンベルクのピアノ協奏曲の録音で、グラモフォン賞の最優秀協奏曲部門を受賞した。 内田は、長年にわたり若い音楽家の育成を支援しており、ボルレッティ=ブイトーニ・トラストの理事および創設メンバーである。また、リチャード・グードとともにマールボロ音楽祭の共同監督を務めている。内田は、ザルツブルク・モーツァルテウムからモーツァルト・ゴールド・メダルを贈られ、日本美術協会から高松宮殿下記念世界文化賞を授与されている。また、オックスフォード大学とケンブリッジ大学から名誉博士号を贈呈された。2009年に大英帝国勲章デイムを受勲。2012年にはロイヤル・フィルハーモニック協会からゴールド・メダルを授与された。