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指揮

ロン・ユー (余隆)

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ロン・ユー (余隆)

ロン・ユー (余隆)
指揮者でありプロデューサーでもあるロン・ユーは、海外の聴衆に中国の傑出した演奏家や作曲家を積極的に紹介し、中国とクラシック音楽の関係の深化を促すことに、キャリアを捧げてきた。 ロン・ユーは現在、中国の三大オーケストラを率いている。すなわち彼は、北京の中国フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督・兼・首席指揮者、上海交響楽団と広州交響楽団の音楽監督を務めており、さらに香港フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者でもある。また彼は、上海夏季音楽祭の共同ディレクターおよび北京国際音楽祭の芸術委員会の委員長を任されている。彼が1998年に創設し、2017年まで芸術監督を務めた北京国際音楽祭は、毎年秋に開かれている。ロン・ユーは現在、中国音楽家協会の副会長の地位にあり、最近設立された中国オーケストラ連盟の会長でもある。 1964年に上海の音楽一家に生まれたロン・ユーは、祖父であり著名な作曲家でもある丁善徳から初期の音楽教育を受け、その後に上海音楽学院とベルリン芸術大学で勉学を続けた。1992年、北京の中央歌劇院の首席指揮者に任命され、3年連続で指揮者を務めた。1994年に初めて広州交響楽団 (GSO) を指揮し、2003年に音楽監督に就任した後は、同団のレパートリーの拡大とツアー地の充実 (ヨーロッパ、米国、オーストラリア、アフリカ、中東) に力を入れ、教育活動も強化した。2005年から2007年にかけて、GSOは、マルタ・アルゲリッチやゲイリー・グラフマンなど著名な教授陣とともに広東国際夏季音楽アカデミーを開催した。 2017年、GSOはヨーヨー・マを芸術監督、ロン・ユーを芸術委員会の代表とし、「中国の交響楽界に新たなページを開く」ための演奏・教育プロジェクト、広東国際青年音楽週(英語名称はYouth Music Culture Guangdong)を発足させた。 国際舞台で高く評価されているロン・ユーは、ニューヨーク・フィルハーモニック、シカゴ交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニック、モントリオール交響楽団、パリ管弦楽団、バンベルク交響楽団、ハンブルク国立歌劇場管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、シドニー交響楽団、BBC交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、シンガポール交響楽団など、数多くの世界的オーケストラを指揮してきた。 また彼は、中国フィルハーモニー管弦楽団が中国のオーケストラとして初めてヴァチカンのパウロ6世記念ホールで演奏した際に指揮を務めた。ローマ教皇ベネディクト16世も臨席したこの演奏会は、東西の架け橋として大きな一歩となった。2014年には、ロン・ユー率いる同団が、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催されたBBCプロムスに中国のオーケストラとして初めて出演。イギリス中の数百万人もの人びとが同公演をテレビで鑑賞した。 ロン・ユーは、2009年から上海交響楽団を率いており、2014年には彼の主導で新コンサート・ホール「上海交響楽団音楽庁」が完成した。同年には上海オーケストラ・アカデミーも設立。これは、上海音楽学院およびニューヨーク・フィルハーモニックとの協力のもとに創られた、音楽学校の卒業生を対象とするオーケストラ奏者育成プログラムであり、中国では初の試みである。ロン・ユーは、同アカデミーの国際諮問委員会の名誉会員にも任命された。その2年後、彼は隔年開催の上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールを立ち上げた。同コンクールは、スターンの歴史的な中国ツアーから20周年の節目となる2000年に彼が北京音楽祭に出演して以来、ロン・ユーがスターン家との間に築いてきた関係に端を発する。2018年、ロン・ユーは中国人指揮者として初めてドイツ・グラモフォンと専属録音契約を結んだ。これに伴い、上海交響楽団との録音が世界規模でリリースされ流通することになった。彼らのDGデビュー・アルバム『故宮からのライヴ』は2019年にリリースされた。同年、ロン・ユーは同団を率いてアメリカとヨーロッパをツアーし、BBCプロムス、アムステルダムのコンセルトヘボウ、エディンバラ音楽祭、ルツェルン・フェスティバル、ラヴィニア音楽祭で公演を行った。 中国での輝かしい表彰歴を誇るロン・ユーは、2010年に芸術分野の年間最優秀者(年度中国文化人物)に選ばれ、2013年に中国芸術賞を受賞した。また、文化交流および中国での音楽の発展に大いに貢献した功績を称えられ、北京中央音楽学院から名誉学位を与えられた。国外では、2002年にモンブラン文化財団の芸術庇護賞を受賞。翌年にフランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを、2005年にイタリア政府から国家功労勲章コンメンダトーレを、それぞれ受章。2014年にはフランスの最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を贈られた。翌年、アトランティック・カウンシル(大西洋評議会)から名誉あるグローバル市民賞を、イェール大学音楽学部からサミュエル・サイモンズ・サンフォード賞を、それぞれ受賞。アメリカ芸術科学アカデミーの外国名誉会員に選出された他、ドイツ連邦共和国の功労勲章も受章。香港演芸学院からは名誉博士号を授与されている。