クリスチャン・ツィメルマン

クリスチャン・ツィメルマン

ピアノ、指揮

クリスチャン・ツィメルマンは、1956年にポーランド南部ザブジェの音楽一家に生まれ、幼少期に、自宅を訪れる多くの音楽家たちの影響で室内楽の演奏に親しんだ。5歳の時、ピアニストの父親から初めてピアノの手ほどきを受け、私的に学びながらカトヴィツェ音楽院でアンジェイ・ヤシンスキからも指導を受けた。 ツィメルマンは1975年、18歳の時にショパン国際ピアノ・コンクール(ワルシャワ)の史上最年少の覇者となり、一躍脚光を浴びた。その一年後、彼はアルトゥール・ルービンシュタインからの招きで、パリの彼のもとで研鑽を積むことになる。こうしてツィメルマンは、20世紀の最も偉大なピアニストの一人であるルービンシュタインはもとより、クラウディオ・アラウ、エミール・ギレリス、スヴャトスラフ・リヒテル、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリらのもとで学び、芸術的および精神的な洞察力を手にした。 以来、ツィメルマンは、数々の世界屈指の演奏家たちと共演してきた。これまで、ギドン・クレーメル、チョン・キョンファ、ユーディ・メニューインらと室内楽を演奏し、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズ、ベルナルド・ハイティンク、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ズービン・メータ、リッカルド・ムーティ、アンドレ・プレヴィン、小澤征爾、サー・サイモン・ラトル、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキなどの指揮者と協演している。 ツィメルマンにとって音楽は、時間の中で種々の感情を秩序付けていく芸術である。ベートーヴェンやショパン、そしてシューベルト、シマノフスキに至るまで、ツィメルマンの全ての演奏は限りなく繊細かつ表情豊かであり、それは音楽を通して明快に物語る姿勢に裏打ちされている。彼は、今日の最も偉大な演奏家の一人と目されているが、この立ち位置はとりわけ、彼の瑞々しく個性的な演奏、常に極めて独自で、どこまでも入念に準備された演奏によって確立されたものである。ツィメルマンは、ある作品を数十年かけて研究し、作品のあらゆる側面を探求し、その意味を熟考してから、ようやくリサイタルのレパートリーに加えたり録音したりすることもある。彼のアプローチは、創造的な進展の動的なプロセスの中にあり、そこでは自己批判、沈思、直感が重要な役割を果たしている。またツィメルマンの演奏芸術は、他の多くのピアニストとは異なり、楽器の仕組みと構造に関する知識と密接に結びついている。実際、彼は、若い頃にピアノ製作と調律に関わる実践的なスキルを身に付け、以来、ハンブルクのスタインウェイ&サンズ社と密に協力しながら、その技能に磨きをかけてきた。